クロサイワイタケ属


火事の焼け跡に生えていた。掘ってみると、地中の朽木から生えているものと、地中に黄色い菌糸を伸ばしているものがある。形から観て、冬虫夏草だろうと思ったのだが、掘っても、どうしても寄主が見つからない。


 更に探してみると、焼けた竹の切り株や、焼けた木の切り株に生えている個体が見つかったが、それをを観ると、冬虫夏草っぽくない生え方をしている。何とも正体が掴めないので、チチショウロの鑑定でもお世話になった、室井哲夫さんに鑑定をお願いすることにしました。以下は、鑑定していただいた結果です。

  送られた標本を確認した結果は、マメザヤタケと同じ仲間のXylaria属でした。
  朽木から生えた硬い子実体、子のう胞子は扁平な紡錘形で褐色、側面に発芽溝が存在する。子のう内に一列に産する。
  子のう先端がヨード液で青変することは確認していませんが、これらの特徴はXylariaを示しています。
  では、種名は何かとなると正直なところ手に負いかねます。
  Xylariaは提案された種名だけでも680以上あり(間違いも含まれていると思いますが)、少なくても100種類以上が存在する
 と思います。

  大部分は黒色の子実体を形成するのですが、今回のような褐色の子実体を形成する種もあります。
  有名なものではハマキタケがあります。
  ハマキタケの子のう胞子は続原色日本菌類図鑑によると、16-25×6-8μmですが、今回の標本では一回り小さく、約10-
 12×3-4μm程度でした。

  また、ハマキタケの子実体の先端は丸く、大型です(5−10cm位)。
  先週、宮崎霧島山中でずいぶん見ましたが、送られた標本とは明らかに異なっていました。
  私はXylaria関係の文献を持っていませんので、直ぐに種名を示せる状態ではありません
  しかし、インターネットで調べても該当するような画像は見当たらないので、少なくても国内では珍しい部類に入るのではない
 でしょうか。


室井哲夫さん

 ご鑑定、ありがとうございました。

クロサイワイタケ属 (クロサイワイタケ科 )